6月14日(土)、藤田早苗さんを講師にお迎えして、人権についての講演会を実施しました。藤田さんの著書『武器としての国際人権』は、人権分野のベストセラー。初めて読んだ時に、「これをみんなで学びたい!語りたい!」と強く背中を押された気持ちでした。当日は41名のみなさまがご参加くださいました。藤田さんのご経験も踏まえてのお話に、会場中が大きく頷きながらお話を伺いました。
「人権」は、学校の中で「思いやり」と混同して語られがちです。思いやりはもちろん大事ですが、それは自分の仲間に向きがちで、気に入らない人に思いやりを与えないことも起こりえます。それに対して「人権」は、すべての人がもっており、あらゆる人間の尊厳を重視し、仲間であってもなくても私達は同等である、ということ。人権の実現には、政府が義務を遂行する必要もあるのです。今までなんとなく理解していたこと、わかったような気になっていたことが、藤田さんのお話でどんどん整理され、足りないことが見えてくるようでした。
参加したみなさまからの感想を一部抜粋してご紹介します。
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自分に染み付いている人権という感覚の間違い、薄さを自覚することができた。人権に関する知識と手段を教育では必須の内容とする必要を感じた。政府という魔物に惑わされないようにするためにも、教育は重要。と思いました。
子ども食堂で孤食を無くすというところに関しては民間団体の力が発揮されるべきですが、やはりベースとなる食材費や調理器具の購入などの準備物は国が補填し、子ども食堂基金のようなものはしっかり国が準備して事業をスタートさせるべきではないかと思います。日本人の優しさや思いやりの心は大切ですが、政府のやるべきことをすり替えられないように気を付けないといけないと思いました。人権教育とは何をすべきなのか?という疑問に対する方向性を示唆していただけた講演会でした。
自分の大切さを守るために、あなたたちは声をあげていいし行動してもいいんだよ!と伝えられるような人権教育も必要に感じた。
入管問題についてどこからアプローチすれば良いのか分からず悩んだり、海外旅行に行く度にどんどん貧しくなる日本を感じてはどこに問題があるのかはっきりと分からずにおりました。それが今日、「人権」という考える素材が欠落していたのだと気づかされました。大きな気づきをいただきありがとうございました。
人権と思いやり、聴講前は違いがあまり認識出来ておりませんでした。また、日本人は人権を強く意識し、きちんとした教育を学ばないと、自分の意志とは関係なく、社会やメディア、同調圧力に流されてしまっていると感じました。
人権について語るときに、法律家、政治家、当事者、教育者等々で、視点や切り口も違ったりするので、藤田さんのように、グローバルな範囲での価値判断軸から日本をみた話は本当に勉強になりました。 人の権利について、国や社会の背景や成り立ちにも大きく影響されていること、歴史だけではなくその国の教育も影響していることを改めて感じました。 障害福祉分野でも、日本の中での歴史文化で醸成されてきたものと、輸入されたものと、財政的な背景等で、国内外の法制度等々の正義と、実態との乖離はまだまだ続いているなという実感があります。
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講演のスタートは、沖縄県の佐喜眞美術館にある「チビチリガマ」と「シムクガマ」の絵画の話でした。チビチリガマでは「米兵に見つかれば虐殺される」と信じた人々が集団自決を決行、一方シムクガマでは、もとハワイ移民だった住民が他の住民を説得し、そろって脱出することができました。知識を身に付けること、自分の頭で考えることの大切さを、歴史も教えてくれています。私たちには、もっともっと学び考え、たくさんの人と対話して実現していかなければならないものがあると改めて思いました。
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