1月19日(金)、常陸大宮市立山方小学校での「コウゾを育てて紙をすこう!」最終工程の「紙すき」を実施しました。本西の内紙保存会の菊池三千春さんが、前回の活動で表皮とりをしたものを叩いて水に混ぜ、年間を通じて活動に参加してきた4~6年生全員が紙すき体験できるよう、準備してくださいました。
水とコウゾだけで紙をすくと、水が落ちるのが早くて、繊維は残るものの平らにするのは難しそう。
そこで登場するのがトロロアオイ。
この植物の粘りが、紙をすくのにいい働きをしてくれます。
「どのくらいの量を混ぜるのかは、長年の感覚で判断します。温度や天気でも変わるので、数字でいうのは難しいんです」と菊池さん。
いい塩梅でトロロアオイを加えて、棒でぐるぐるかき混ぜて。
トロロアオイを入れることで水が落ちるのが遅くなり、枠を揺らしながら紙を均等にすることができるようになりました。
小学生のみなさん向けに金網でつくった紙すき道具を準備していただき、いよいよ紙すき体験スタート。
みんな真剣な表情で金網を沈めて、ゆっくり引き上げます。
平らになるように持って、前後左右にゆすって・・・。
みんな同じように見えて、よくみると個性的な和紙が完成しました。
おひさまに乾かしてもらって、週明けには完成品を手にできるかな。
繊維の重なり合いと強度の話、紙の縦と横の話など、菊池さんからたくさんのお話を伺うことができました。
身近な新聞紙も、どちら向きに破るかで手ごたえが変わってきますね。
新聞紙がどんな風に作られて、どんな風に再生されるか、そんなお話もとても興味深かったです。
今年度のコウゾを巡る活動は今回で一区切り。
校長先生からは、「来年度以降も継続を」と嬉しいお言葉をいただきました。
「来年、再来年には、5月に植えたコウゾも収穫できるかな」「表皮とりの後に叩く作業も次回は是非」「4年生はあと2回体験の機会があるから、下級生にしっかり教えられるようになりそう」などなど、お茶をいただきながら未来に向けた楽しいおしゃべりが弾みました。
数年前に植えられて校庭で大きくなっていた木が和紙の原料「コウゾ」であると知るところから始まり、それを収穫し、どの部分が紙になるのかを体験を通じて確かめる・・・そんな活動を通して、今まで気にも留めていなかった景色が、子どもたちにとって意味を持つものになったのではないかと思います。
身の周りの景色をどれだけ自分の内側に取り込めるか、それは個人の豊かさだけでなく社会の豊かさにもつながる学びだと思っています。
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