ともに話す#6「特別支援学校の校長として考えていること」

 オンライン対話イベント「ともに話す」は、気軽にご参加いただき、対話を楽しみつつ、目指すべき教育について考えることを目的としています。今年度は、子どもたちを伴走するとはどういうことなのか考え、ひとりひとりができることを見つけることを目指します。

 毎回、会員の中から基調となるお話をするゲストをお願いし、その話をスタートとして参加者みんなで作る80分の対話です。


 10月13日に実施した第6回「ともに話す」では、ゲストに宮山敬子さん(茨城県立水戸高等特別支援学校 校長)を迎え、14名の参加者と共に素敵な対話の時間を過ごすことができました。

 初めに、宮山さんから「特別支援学校の校長として考えていること」と題して、想いを語っていただきました。

 宮山さんの目の前にいる子どもたちは、「頑張れ」と応援されることが多いけれども、皆人の役に立ちたいという思いを強く持っていて、「ありがとう」と言われると目がキラキラして元気になる、やる気になるなと感じているそうです。

 そんな子どもたちの「やりたい」をかたちに!と取り組んできた活動を2つ紹介していただきました。

・子どもたちが障害当事者として、社会貢献できるツール「WheeLog(ウィーログ)」

・分身ロボットで自分が変わる社会を変える「OriHime(オリヒメ)」

 OriHimeでの就労体験では、「つながる喜び」のその先へ「これが当たり前になってほしい」という生徒の想いが語られたそうです。「みんな違ってみんないい」ではなく、「みんな違うことに価値がある」、「共生社会への道は、子どもたちが教えてくれる」そんな言葉が印象的でした。    

 校長として心掛けていることは、子どもがチャレンジしたいと思うツールを見つけてくること、自分が人と繋がることで、子どものチャレンジを後押しできるようにしているとお話しされていました。最後に、事前に参加者の皆様からいただいていた質問にもお答えいただき、あっという間の30分間でした。

 「決めつける」ことなく、子どもに対しても教職員に対しても、共に楽しみながら伴走する宮山先生のお話から「大人も子供も、人が互いを尊重し合える共生社会」のイメージがつかめた気がしました。         

 その後、ブレイクアウトルームで3班に分かれてそれぞれ対話をしました。それぞれのブレイクアウトルームでは以下のような話で盛り上がったそうです。

 ・子ども一人一人は、その子の親にとってかけがえのない存在であること、その子を学校ではどう見ていくのか。

・子どもを障害のあるなしに関わらず、一人の個として(「○○ちゃん」として)関わるために。

・分断と包摂について。わたしたちのパラメーターを変えていくことで肩の力が抜けていくのでは。

 メインルームに戻って、共有や全員で対話していると、あっという間に80分が過ぎていました。今回も、自分の思いや自分にできることを皆さんと対話する中で、頭と心が熱くなった学び多き80分間でした。

 

以下は、参加者した皆さんの感想です。(抜粋)

・「100回のがんばれより1回のありがとうの方が元気が湧く」という言葉が、一番印象に残った。感謝する、されるが互いにできる関係は、人が関わり合って良かったと思える証だと思う。「がんばれ」は距離があるけれど、ありがとうは、一体感がある。現在「互いの気付きを話す」に加えて「互いの感謝を伝える」も組み込んだフレーム対話を試行しているが、参加した教職員から、感謝を伝え合うことが、「嬉しかった」「相手に伝えられて良かった」という感想が多いので、大事な要素なんだと思った。

・多様性の本質を教えて頂いた思い。インクルーシブ教育の大切さを実感した。

・宮山先生のような生き方、働き方をしたいな、と思った。

・"ありがとう"と言ってもらえることは、"自分を認められるパワーの源"だと感じた。

・社会貢献に向けて学び、行動していく生徒さんの話には学ばせていただくこと考えさせていただくことが多かった。工夫しながら行動しながら、社会をよりよくしていく活動を身近なところから実践していく大切さを学んだ。

・100回の「がんばれ!」より1回の「ありがとう」に、ものすごく共感した。保護者として日々我が子と関わる中で意識している。ほめる、お願いする、指示する、ではなく、こちらの思いにこたえてくれた時に「ありがとう」を伝えている。産まれてくることが難しいと告げられた子なので、元気に生きて笑っている姿が今ここに在ることに「ありがとう」なはずなのに、欲がでてしまい親としてやり直しの日々です。


※「ともに話す」の今後の予定は以下の通りです。皆さまのご参加をお待ちしています。

  第7回 12月 2日(土)20:00~21:20

  「子どもに伴走する大人たち」

  ゲスト:北村直子さん(認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所 事務局長)

      安富悠介さん(石岡市立東小学校 教諭 SEL教育を実践)

  第8回  2月 2日(金)20:00~21:20

  「子どもの事実に始まり、子供の事実に返る」

  ゲスト:木村泰子さん(大阪市立大空小学校 初代校長)


※トモニトウでは、随時会員を募集しております。お申込みはこちらから。


特定非営利活動法人トモニトウ

身近な友に問いかけるような気軽さで、よりよい社会や未来の在り方を共に問い合いたいーそんな思いで、さまざまな立場の方々と教育や地域について考え行動する機会をつくります。

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