「夢みる小学校」上映会&木村泰子さんと考える「これからの学校」にご来場ありがとうございました!

 11月27日(日)に開催しました「夢みる小学校」上映会&木村泰子さんと考える「これからの学校」、多くのみなさまにご来場いただき、盛況のうちに終了することができました。

 夢みる小学校で紹介された「きのくに子どもの村学園」のスローガンは、「まずは子どもを幸せにしよう。すべてはその後に続く」。30年以上前から体験学習を実践しており、宿題がない、テストがない、「先生」がいない学校です。60年以上成績通知表がない伊那市立伊那小学校や、校則ゼロ、定期テストもやめたという世田谷区立桜丘中学校も、映画の中で紹介されました。きのくに子どもの村学園で子どもたちはどのように学ぶのか、身に付いた力が大学進学後にどのように発揮されるのか、脳科学の視点から子どもの成長や発達に必要なものは何なのか・・・さまざまな立場の方からの言葉と、何より生き生きと学ぶ子どもの表情に、みなさん引き込まれてさまざまな思いを抱いたようです。


 後半の「木村泰子さんと考える『これからの学校』」の進行については、いろいろと思案した結果、対話型?「泰子の部屋」風?に進めていくことに。僭越ながら、茨城県教育研修センター主催「エドカフェ」の初期メンバーも泰子さんと共に登壇させていただき、映画の感想や印象的なシーンを最初の話題に、薬のこと、通知表のこと、子どもたちの表情や関わる大人の在り方などをお話いただきました。

 今回は、木村泰子さんと一緒にみんなで「これからの学校」について考えていくということで、会場のみなさまからも時間の許す範囲で思いを聞かせていただきました。みなさまからいただいた声とそれに対する泰子さんのお話は、どれも大変印象的でした。


 現場でよりよい保育を目指して試行錯誤をしている保育園勤務の方からは、大人が変わることの難しさについて日頃の思いを共有していただきました。泰子さんからは、「うまくいかないのが当たり前。「うまくいかない」と頭を抱えるよりも、「どうしたらうまくいくだろう」とみんなで発想を変えていったら、たくさんアイディアがみつかる」というお話がありました。


 来春から中学校の教員になるという大学4年生には、泰子さんの教育実習ノートに書かれていたという指導教官の先生の言葉を紹介してくださいました。迷いが生じた教員10年目に、時を超えて泰子さんの背中を押してくれた言葉だそうです。

「流れる水のごとく流れるのはいともたやすい。

 流れに逆らって動くのは困難を極める。

 あなたはどちらを選びますか?」


 最後には「学校とはそもそも何か」という今回のテーマにぴったりの問いをいただきました。泰子さんからの答えは「学校はすべての子どもが自分を作るところ」ということです。自分をつくるためには自分と異なる他者が必要で、みんな違うからこそ多様な力を吸収していける。学校は、すべての子どもが主語で、その子がその子らしく学べるところ。その子がその子らしく育つためにあるところ。どんな大人になってどんな社会をつくっていきたいか、そのためにどんな力をつけたいかを考えて学べるところ。それが学校という場です。

泰子さんが最後にご紹介くださったのは、泰子さんの講演を聞いた高校1年生からのメールです。


「学校という牢獄に通うということ

 何にも悪いことをしていないのに刑務所行きと言われること

 みんなと同じようにして学校に行きなさい

 ほとんどの人にとって学校が刑務所でないからこそ気軽に言えること

 当事者からすると、ありのままの自分を真っ向から否定される場所

 人に迷惑をかけるな

 周りと同じようにしなさい

 ありのままの自分でいることの罪を償え

 と言われているようなくらくて重いプレッシャーを背負いながら

 学校に通い続けることがどれだけ難しいか

 そのストレスが何も、学校に行かなくなったからといって消えるものでもなく

 一人一人の意識から変わっていかないとしんどい子はいなくならないと思う」


 社会や学校が呼ぶところの「不登校」、そう呼ばれる子たちは苦しんでいる。そのストレスは、学校に行かなくなったからと言って消えるものではない。泰子さんは「『不登校』みたいに呼ばなあかん子どもをつくらないのがこれからの学校ではないでしょうか」とまとめてくださいました。 


 映画の上映から泰子さんのお話まで、長いようであっという間の3時間半でした。心に残った言葉はたくさんありましたが、特にその一つは「うらやましいと思っている間は主語は自分にならない」という泰子さんの言葉です。目の前に事実があったとして、さて自分はどうするか、それを考えて自分の今いる所でできることをしていきたいと改めて思いました。


 今回の上映会&講演会は「NPO法人トモニトウ」という名前で企画を進めさせていただきましたが、常陸大宮市文化センターロゼホールさんの全面的な協力と、実行委員に名乗りを上げてくださったみなさんのお力がなければ実現できないものでした。得意なことやできることを持ち寄り、足りないところはご自身で考えて率先して動いてくださり、助けていただくことばかりでした。ご来場のみなさまにも、ご不便をおかけした点があったかも知れませんが、ご理解とご協力をいただき運営ができましたことに感謝いたします。ありがとうございました。

特定非営利活動法人トモニトウ

身近な友に問いかけるような気軽さで、よりよい社会や未来の在り方を共に問い合いたいーそんな思いで、さまざまな立場の方々と教育や地域について考え行動する機会をつくります。

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